画像ファイル形式
CGビギナーにとって、頭を悩ます問題の一つが「画像ファイル形式」です。
数多くある「画像ファイル形式」の、どこが違い、どこが共通なのか? そしてその「ファイル形式」は、どう使い分ければ良いのか?
これらについて少し交通整理をして見たいと思います。
画像ファイル形式は、画像の保存方法、圧縮方法の違いと密接に関連しています。その辺の関係が理解できると「画像ファイル」の輪郭が見えてくるでしょう。
画像ファイル形式の種類
画像ファイルの形式は、基本的にそのデータの保存方法によって分類されます。
保存方法の違いが、そのままファイル形式の違いとなります。
画像ファイルに限りませんが、どの性質に着目するかによって分類の仕方が変わってきます。画像データ(ファイル)を、大きく分けると次の二つに分類できます。
- 作成したアプリケーションネイティブ形式
- 汎用的なファイル形式
■ アプリケーションネイティブ形式
画像作成ソフトで作成したデータを、そのソフト独自の形式で保存したファイル形式です。例えばIllustrator CS5で作成した画像データを、そのままIllustratorCS5形式で保存した場合などです。
※ 「ネイティブ」とは、生まれたままの、母国の、そのままの、と言うような意味を持ちます。
-
作成ソフトの機能を全て生かせる。
画像作成ソフトの種類は沢山有ります。Illustratorも当然そのうちの一つです。ネイティブ形式のデータは、当然それを作成したアプリケーションの全ての機能を含んでいます。後で開きなおし、編集する場合でも当然全く問題はありません。 -
汎用性に制限。
ネイティブファイルは、原則としてそのアプリケーションだけでしか読み込みや編集が出来ません。あくまでも、作成アプリケーションを「母国」としたデータ・ファイル形式だと言うことです。
ただ、 Illustratorのように、業界標準、デファクトスタンダードとなっているアプリケーションの場合、 ある程度他のアプリケーションでも読み込み、編集出来る場合があります。例えば、IllustratorとFreeHandの間では相当程度の互換があります。
Photoshopのように、ビットマップ系における事実上の標準ソフトの場合、よりいっそうその特徴は顕著です。他のビットマップ系画像ソフトで作成した殆どの形式の画像を開き、それを別の形式の画像として書き出すことが出来ます。
その為、Photoshopは画像データのコンバートツールとしても活用出来ます。
このように、ネイティブ形式のデータ・ファイルで有っても有る程度の互換性を持つ場合が有ります。
しかしそう云った場合でも、作成アプリケーション独自の機能に依存した部分は、その機能をカバーしていないアプリケーションとの互換性がなく、エラーの原因になったり、仮に開けたとしても当然正常な表示は不可能です。
このことは、同じアプリケーションの間でも、バージョンが違えば同じことが言えます。
■ 汎用的なファイル形式
作成アプリケーションに直接依存せず、ある標準的な規格によって記録・保存されたデータ形式で、アプリケーションの枠を超えて幅広くカバーされています。
※ 「標準的な規格」 と書きましたが、この規格の決まり方はケースに応じさまざまです。
あるソフトメーカーの規格が、事実上のスタンダードになったもの、或いは国際的な規格制定委員会で制定されたもの等。
又、汎用的な画像ファイルと言っても、それを作成するするのは個々の画像作成アプリケーションです。「汎用的画像作成ソフト」と言うものが別に有る訳では有りません。
各画像作成ソフトが、そのソフトのネイティブ形式で作成したものを、それぞれの汎用的ファイル形式で書き出します。
CGビギナーとしては、取り合えず次のファイル形式を抑えておけばいいと思います。大雑把に一覧表にしておきました。
ファイル形式 | 圧縮形式 | ベクトル/ビットマップ | カラーモード | 対応カラー数 |
---|---|---|---|---|
BMP (bmp) | 可逆 | ビットマップ | RGB | フルカラー |
PICT (pct) | 可逆/不可逆 | ベクトル/ビットマップ | RGB | フルカラー |
TIFF (tif) | 可逆 | ビットマップ | RGB/CMYK | フルカラー |
GIF (gif) | 可逆 | ビットマップ | RGB | 256色 |
JPEG (jpg) | 可逆/不可逆 | ビットマップ | RGB/CMYK | フルカラー |
PNG (png) | 可逆 | ビットマップ | RGB | 256/フルカラー |
EPS (eps) | 可逆 | ベクトル/ビットマップ | RGB/CMYK | フルカラー |
DCS (dcs) | 可逆 | ベクトル/ビットマップ | RGB/CMYK | フルカラー |
PDF (pdf) | 可逆/不可逆 | ベクトル/ビットマップ | RGB/CMY | K フルカラー |
※ 上記の中で、GIF、JPEG、PNG は、Webサイト作成に使われます。
「Webとの連携」の中で取り上げます。
BMP(ビットマップ)ファイル
-
概要
Windows、OS/2での標準画像ファイル形式。
圧縮形式はRLE(ランレングス)。 ピクセルの状態をそのままビットの形に書き出し、特殊な圧縮を掛けていない。ファイルサイズは大きくなるが、構造が単純で、多くの画像アプリケーションでサポートしており、極めて汎用性が高い。
画像情報をそのまま維持しているので、取り合えずBMP形式で保存しておけば、次にどんな形式に変換するにしても対応可能。 -
カラーモード
RGB、インデックスカラー、グレースケール、 モノクロ
CMYK分版に対応していない。 -
その他
ファイルサイズが大きく、ネットワーク転送には向かない。又CMYK分版に対応していないので、DTPにも向かない。
ローカル環境での使用向き。
※ ピクセルを基礎とした画像(グリッド画像、メッシュ画像)一般をビットマップ画像と呼んでいます。それと混同しやすいと言う事情が有ります。
PICT(ピクト)ファイル
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概要
Macintoshでの標準画像ファイル形式。内部にベクトル画像データとビットマップ画像データを混在して保持できる。
カラーモード
RGB、インデックスカラー、グレースケール、 モノクロ
TIFF(Tagged Image File Format-ティフ)
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概要
多くのOSでサポートされており、プラットフォームを越えて高い汎用性を持つ。
取り合えずTIFFで保存しておけば転用可能。
圧縮は可逆的。 -
カラーモード
RGB、CMYK、インデックスカラー、グレースケール、 モノクロ -
その他
バージョン、拡張TIFF使用が多岐にわたり、互換性が無い場合がある
EPS(Encapsulated PostScript-イーピーエス)ファイル
-
概要
カプセル化されたPostScript(ポストスクリプト)ファイル、と言うような意味である。
PostScript(PS)は、Adobe社が1985年開発したページ記述言語。ページ内の画像やテキストを全て点と線に分解、その座標値等のデータをテキストファイルとして記録し、専用のアプリケーション、或いは出力デバイスで解析し再生・出力する。
EPSは、PSで記述されたページに配置する為の画像構成情報ファイルである。
DTP関係、Illustratorを扱う上では必須のファイル形式であるが、一般にはあまり縁が無い。詳細は関連サイトを参照のこと。
カラーモード
RGB、CMYK、インデックスカラー、グレースケール、 モノクロ -
Illustratorとの関係
Illustratorのデータ=EPSデータ、と理解しても良い。
Illustratorでの アートワークの制作過程では、Illustrator形式(AI形式)で保存し、作業終了後、DTP用に使用する際EPS保存する。当然Illustratorオリジナルデータは取って置く。
DCS(Desktop Color Separations)ファイル
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概要
DTPアプリケーションのQuarkXpressで採用されている画像データファイル形式。EPS形式での保存方法の一つ。
C,M,Y,K各色の分版ファイルと4色合わせたメイン画像の5つのファイルが書き出される。
予め、分版されているので、印刷の出力時間が短縮できる。
PDF (Portable Document Format-ピーディーエフ)ファイル
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概要
アドビ システムズが開発した、電子文書フォーマット。仕様が100%公開されており、無償配布のAdobe ReaderRを使って誰でもファイルを共有、表示、印刷することができる。
PDFは、元になる文書データの作成に使われたアプリケーションやプラットフォームの種類に関係なく、あらゆる文書の全てのフォント、画像、グラフィック、レイアウトを元のとおりに保持することができる汎用性の高いファイルフォーマット形式。
IllustratorからもPDFファイル書き出しが出来る。 -
カラーモード
RGB,CMYK,グレースケール
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