グラデーションメッシュ-2(人物)


「バラ」に続き、グラデーションメッシュ適用の具体例として、「ボッチチェリのヴィーナス」を描いてみます。
ボッチチェリのヴィーナスは、バージョン10までのIllustratorのマスコットガールでしたし、このサイトのマスコットガールでも有ります。

......と言うことで、「人物の顔」について、少しばかり留意点を述べて見ます。
と言うのは、例えば木の葉や、花 等は、多少グラデーションの掛かり方が雑でも、取り立てて問題が無い場合が多いのに対し、人の顔は相当注意深いグラデーションの設定が必要だからです。それは美人になればなるほど、注意深さが要求されます。
人の顔がきちんと描ければ、他のオブジェクトも大体描けるでしょう。


 

 

メッシュ適用の手順

Illustratorの解説書で、グラデーションメッシュ適用の方法を見ると、「人の顔を描く」と言った場合、大抵は先ず、顔の輪郭を描き、そこに直ぐメッシュを適用しています。描き方は人によって色々有っていいのですが、しかし実際にやって見るとこの方法では、的確なメッシュ設定が困難なことが私には感じられました。

  1. 私は最初に顔のパーツを描きます。
  2. 目、口、鼻等を描き、位置を決めてから輪郭のメッシュラインを設定します。
    顔のパーツの、位置、ラインの流れを決め、それに合わせて、顔輪郭のメッシュラインを、ダイレクト選択ツールやグラデーションメッシュツールで、移動したり、追加します。
    これにより、輪郭とパーツの色合わせを容易にする準備が出来ます。

■ メッシュラインの設定数

  • グラデーションメッシュを設定するには、 グラデーションメッシュツール
  • 「オブジェクト→グラデーションメッシュ→作成」

の二通りのやり方が有る訳ですが、 メッシュラインが何本必要か?、と言うことは、予め分かるものでは有りません。
私は、よほど単純か、複雑な形状で無い限り、縦・横、それぞれメッシュライン6本づつで設定し、必要に応じて追加することにしています。「顔」等は、6本では当然足りなくなりますが、追加はメッシュツールで、必要な個所に簡単に出来ます。

削除も簡単に出来ますが.........、

  1. 一度設定したメッシュラインを削除すると、場合によっては残ったラインに、変な癖がつくことが有る。
  2. 一旦メッシュにカラーを適用し、その後で修正が発生した場合、メッシュラインが多いときにその修正は非常に煩雑となり、しかも滑らかなグラデーションカラーが得られない場合が有る。

等の弊害が出ます。
最初は少なめに、必要に応じて必要な個所に追加、と言うのが原則のようです。

■ メッシュへのカラー適用

「顔」でも「ボディ」でも、ひとつのメッシュオブジェクトだけで一度に描ける訳では有りません。 幾つかのパーツに分けて描き分ける必要が有ります。当然パーツごとの色合わせが必要になります。

「顔」で言えば、顔地肌部と、目、口、鼻、等の各パーツと...。
目と口は輪郭もはっきりしているし、顔地肌との色合わせに、あまり神経を使う必要も有りません 。

※ 問題は鼻です。

地肌と鼻の境界部の色合わせが雑では、到底美人は描けません。
隣接パーツが、単色なら色合わせも楽なのですが、地肌も、鼻もそれぞれグラデーションが施されており、お互いの色合わせは簡単では有りません。
その為、地肌領域とパーツに共通な、いわゆる「基準色」とでも言うカラーを、予め設定しておきます。

※ 但しこの問題も、私のように「鼻」を独自のパーツ(オブジェクト)として、顔の地肌と別に描く手法から来ることです。鼻を顔全体の中で、一体のものとしてメッシュ設定して描く手法をとる場合(こちらが多いでしょう)、上記「色合わせ」が問題になることは無いでしょう。

色合わせの為に、基準色を設定

オブジェクト間の色合わせを容易に、スムーズにする為に「基準色」を決めて、全体に適用、その後必要に応じて濃度を変更して行きます( 「基準色」は、私の勝手な呼び方です)。

基準色設定

「顔」の場合、男性、女性、日本人、白人等で、違ってきますが、例えば、C.M.Y.Kそれぞれ、3,13,20,0.3等。

カラー濃度の変更、メッシュへの適用

この「基準色」を、顔の地、鼻等のパーツに適用し、そのうえで、カラーバランスを変えずに濃度だけを、Ctrl(Winの場合)+カラースライダーで調整します。
スポイトツールを使って、境界部分直近のカラーを拾い、ctrl+カラースライダーでの微調整をすれば良いでしょう。
各部分、パーツ毎に色相を変えていては色合わせに苦労します。
色相(カラーバランス)は一定で濃度だけを調整する。 これがコツです。

最終調整

「基準色」と、その濃度調整だけ では全体に単調になりますので、最後に頬に紅をさすとか、シャドウ部に黒を入れるとかして、カラーバリエーションを豊富にして、仕上げます。

■ 複雑な形状へのグラデーションメッシュ適用

メッシュオブジェクトは、なるべく凹凸の無い、単調な形の方がやり易いのですが、いつもそう言う単純な形状だけを描く訳では有りません。
でこぼこの有る形状(例えば指を開いた手のひら)に其のままメッシュを適用すると、非常に癖の有る、やりづらいメッシュラインが形成されます。

複雑な形状へのメッシュ適用、2つの方法

  1. 幾つかの単純なパーツに分ける。(掌と五本の指とにパーツ分けする)
  2. 複雑なオブジェクト全体を囲む、単調なダミーオブジェクトを作り,ダミーの方にメッシュを適用し、それを本来の オブジェクトでマスクする。
    メッシュとマスクについてはこちら参照
    マスクした後でも、ダイレクト選択ツールで自由にメッシュを調整できます。

次に「ヴィーナス」を題材として、実際に具体的なグラデーションメッシュの使い方を見てみましょう。

 


 

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