減法混色と印刷

カラー-7
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減法三原色と減法混色の基本的な考え方については、前ページで述べました。 透過光による減法混色の典型は映画などでしょうが、反射光による減法混色の 具体的な適用として、最も一般的で重要なものは「カラー印刷」でしょう。

ここでは減法三原色(CMY)・減法混色と、カラーインキ、カラー印刷との関係について考えて行きましょう。

※ なお、印刷の技術的な問題そのものについて、管理人は門外漢です。正確で詳細な情報は専門書、サイトを参照して下さい。


■ カラー印刷

カラー印刷の主流はオフセット(平板)印刷ですが、その基本的な仕組みは「プロセス印刷」と呼んで良いでしょう。プロセス4原色と言われる限られたカラーインキで全ての色を再現しようと言う仕組みです。

人間の眼は、3種類の視細胞で色を識別します。 であるなら、3種類の原色で全ての色を再現しようと言うのが、カラー印刷の考え方であり、方法だと言えるでしょう。

■プロセス印刷

■アミ点

カラー印刷の仕組みの基本は「プロセス印刷」です。
プロセスインキと呼ばれる基本の4原色インキを、アミ点(ハーフトーンドット)と呼ばれる細かい点として配置し、インク同士の減法混色と、それを見る人間の眼の加法混色で、全ての色を表現しようとします。 インキで階調を表現する為にはインキの濃淡を変えてゆく必要が有ります。しかしインキの濃度は決まっていて、部分的にコントロールすることは出来ません。
その為、印刷面をアミ点と呼ばれる細かい点の配列・集合で表し、アミ点の大きさを変更することにより、インキと紙の白地との面積比で濃淡を表現します。
アミ点によるインキと白地との比率を「アミ点濃度」と呼び、パーセントで表示します。

■プロセスインキ

減法三原色の3色、シアンマゼンタ、イエロー、及びブラック(CMYK)の4色を「プロセスカラー」と言い、この4色を「プロセスインキ4原色」と言います。
カラー印刷の基本は、プロセスインキの減法混色による印刷です。

■ Kインキ

原理的には印刷インキも「減法3原色」のC・M.・Y3色でフルカラーを生成でき、3色全てを混ぜると黒(Black)が生成される筈です。しかし実際のインキによる混合では、主に技術的な特性上、真っ黒は再現できません。 やや緑がかった黒にしかなりません。
その為、深く締りのある真っ黒を表現する為、ブラックインキを追加して「CMYK」4色で印刷しています。

「K」は「くろ」のKでは有りません。BlackのKです。
ブラックはKeyカラーで有る事、Bの文字はRGBのブルーに使っていること、等からブラックには Kの文字を当て嵌めているのです 。

■アミ点

CMYK 網点網点 スクリーンドット

写真のカラー印刷を拡大したものです(左図)。
細かい点で構成されているのが分かります。これをアミ点(ハーフトーンドット)と言います。


スクリーン線数

アミ点配置の密度が細かいほど、印刷品位も精細になります。
アミ点の密度を決めるのがスクリーン線数です。 1インチ当たりのアミ点配列で表します(上図例では16線数ということになります。 Lineの l を取って、16lpi と表示されることがあります)。
線数が多くなるほど、アミ点は細かくなります。

アミ点濃度

アミ点が細かくなるほど、印刷用紙の白地の割合が増えて、眼には薄く感じられます。
プロセスインキに、白は無く、用紙の白地が白となります。
用紙の白地とインキアミ点との比率をアミ点濃度と言います。

■ 減法混色と加法混色の組み合わせ

カラー印刷は、アミ点における減法混色と、それによって生成された2次色、及び紙の白地との併置的加法混色の組み合わせで、あらゆるカラーを再現します。

網点 印刷

  1. 重なり合ったアミ点が減法混色を起こす(1次色)
  2. アミ点からの反射光と、紙の白地からの反射による併置的加法混色で、眼に色を感じる(2次色)。
  3. アミ点が細かいほど、眼に入る色の組み合わせが多くなる。
  4. CMYだけで出せない黒を、Bインキ(3次色)で表現。

プロセス印刷では、紙の上に、1次色のCMYと2次色のRGB、3次色の黒(Kインキが使われる)、及び紙の地の白、合計8色が表現できる。
この色の組み合わせと、アミ点濃度による「併置的加法混色」で、あらゆる色を表現する。

■ 印刷の問題点、話題など

■ プロセスインキによる印刷の限界

理論的にはプロセスインキ、C・M・Y・K 4色の組み合わせで、殆ど全ての色が再現される筈ですが、 実際は色々な制約が有って完全な再現には限界が有ります。

プロセス印刷ではアミ点面積の大小で色再現しますが、インキそのものの濃度、厚さは同じです。
濃い色の部分は100%のベタ、薄い色調は細かいアミ点で表現しますが、その範囲内での表現しか出来ません。

アミ点の重なりによって、色が濁り汚い発色になる傾向があります。

インキにはどうしても不純物の混入が避けられず、物理的に濁りが生じがちです。

「分光分布」で見たように、用紙、インキとも完全な反射、吸収はありえず、誤反射、誤吸収が避けられない。

等など。

■ 特色

プロセスインキの限界を解消する為の、一つの手段が「特色」インキです。
理論上プロセスインキ4色で全ての色が再現できる筈ですが、インキの特性上再現不可能の色、再現の難しい色が有ります。
鮮やかなオレンジ、紫、緑など。

プロセスインキで表現の難しい色を補う為に、予め所定の色に調整されたインキのことを「特色インキ」と言います。 プロセスインキの代わりに、或いはプロセスインキに加えて印刷します。

DICカラー

特色インキの種類と使われ方
  1. スタンダード・インキ(基本インキ)
    各インキメーカーで大量生産され、品質管理も行き届いている。
  2. スタンダード・インキによる混合
    基本インキの調肉により様々な色を作る。
    インキメーカーにより独自の色見本帖があり、名前と番号、混合割合設定されている。
    DICカラーガイドなどがそれに当たる。
  3. プロセスインキと特色インキの併用
    プロセスインキだけでは表現できない色を表現する為、プロセスインキ4版に加え、特色の刷版を加えて印刷。

■ オフセット印刷以外の印刷

カラー印刷の主流は上記、オフセット印刷ですが、その他の印刷方式について、その違いなど、

■ グラビア印刷(凹版)

インキ膜の厚さで濃淡を表現します。 深さの異なる、版の凹部のインキを紙に転写して印刷します。
版はインキの中で回転し、余分のインキはドクターと呼ばれるヘラで拭き取ります。
大量印刷に向き、コクのある表現が得られるので、美術書、写真集、グラフ誌などに用いられる。
オフセット、凸版とはかなり違ったアミ点形状をしています。

■ 凸版印刷

凹版とは逆に、凸部にインキローラーでインキを付着させ、紙に転写します。
最も長い歴史を持つ印刷方式です。

■ インクジェットプリンタの色再現

インクジェットプリンタの出現で、一般家庭でも非常に高品位の印刷が本当にポピュラーになりました。
インクジェットプリンタは、アミ点、或いはスクリーン線数という考え方は有りません。
プリンタヘッドのノズルから、計算された位置にインクを噴射します。アミ点濃度の変わりにインク粒子の大きさを何段階かにコントロールして噴出し、濃淡を表現します。

インク粒子が細かいほど微妙なカラー再現が出来る訳で、現在、2ピコリットルと言うような極小レベルが達成されています。
インク粒子が細かくなるほど、dpp、つまりドット・パー・インチの数値は大きくなります。この数値は勿論、印刷の解像度に関係しては来ますが、いわゆる画像のピクセルやオフセット印刷でのスクリーン線数とは直接関係有りません。

※ それにしても今のインクジェットプリンタの印刷品位には舌を巻きます。専門の光沢紙に印刷されたものはオフセット印刷と比較しても、遜色ないように感じられます。

オフセット印刷などでは、予め刷版が用意されている訳ですが、インクジェットプリンタでは、プリンタヘッドが動きながら、インクを噴出し、計算された位置にインク粒子を配置してゆきます。
インク噴出の理屈については、熱によってインクヘッドに気泡をつくり、その圧力でインクを噴出するとか、ピエゾ素子がどうのとか聞かされますが、あの小さなヘッドが動きながら、粒子サイズをコントロールして、あれだけの正確さでインクを配置してゆく。

コンピュータその物の性能も凄いとは思いますが、小さなこのプリンタヘッドがやっていることは私の想像を超えます。
これが5万円前後のプリンタで実現されているのですから、本当に驚異的です。

■ ライトインク

インクジェットカラープリンタの中には、CMYKの四色の他に、ライトシアン、ライトマゼンタ のインクを加え、六色で印刷しているものも有ります。
インキでの印刷の場合、印刷濃度の調節はインキ散布の密度で行います。
CRTディスプレー等RGBが、光の強度その物を調節出来るのに比べ、インキの濃さその物を変更することは出来ないのです。つまり濃い部分はインキを密度濃く、薄い部分はまばらにインクを配することで 表現します。 その為、色の薄い部分ではどうしても粒状感が出てしまいます。

例えば、うす〜い水色を表現するのに、シアンインクをまばらに散布したとします。 するとややもすると、水色と言うよりは、シアンの水玉模様になってしまう訳です。
これを防ぐ為のライトインキです。 なおイエローは、白い紙に印刷する場合、濃度による影響が少ない為、普通ライト イエローのインクは用意されません。
しかし、最近売り出されたEPSON社のプリンタには「ダークイエロー」のインクを使い、7色でプリントしています。これにより、深みの或る黄色が出力出来るのだそうです。

なお、 このライトインクの問題はインク粒子が充分に細かければ必要ない事です。 実際オフセット印刷ではそうですし、インクジェットプリンタでも 今のペースでインク粒子サイズが極小化して行けば,そのうち必要無く なる理屈です。
しかし実際にはインクジェットプリンタで、インク粒子サイズがドンドン極小化して行きながら、インク数も増えて来ています。今ハイエンド機では8色インクが普通になっていますね。

■ コンピュータグラフィックスに於けるCMYKモード

■ CMYKカラーパレット

CMYKカラーパレット

Illustratorで、カラーモードをCMYKにし、カラーパレットを見てみると パーセント表示で、CMYKそれぞれ100階調が割り当てられています。
このパーセントは、刷版のアミ点濃度を表しているのでしょう。
計算上は100x100x100x100で、1億色のカラーバリエーションが有る事に なりますが、勿論そんな事は有りません。
K(ブラック)は、もともと三原色外のカラーで、技術的な必要から 加えられた色ですし、 それでなくてもCMYK方式は、RGB方式の表示能力にはるかに及びません。

モニタディスプレーなど、RGBの表示は、1ドット、1ピクセル 当たり、3バイト、24ビットの情報量で表示しているのに対し、CMYKによる印刷は4色(又は 6〜8色)の決まった濃度のインキを、密度と粒子サイズを調節して混色しているだけなのです。
ですから、ディスプレー上で見ている色を、そのままプリントアウト出来ると思ったら間違いです。
逆にプリンタで印刷できるのに、ディスプレーでは表示出来ない色と言うのも 一部有ります。

■ カラーモードとファイルサイズ

Illustrator、Photoshop等CGソフトは、各色に一枚のチャネルを割り当てます。つまりRGBカラーモードはチャネルが3枚、CMYKは4枚になります。
従ってファイルサイズと言う点からいうと、RGBモードで作成・保存したファイルよりCMYKモードでのファイルサイズが若干大きくなります。


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