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無限とも言えるカラーバリエーションの中から、任意の色を特定する為の手法として、今まで述べてきた「混色」が有ります。
それとは違った考え方によって色を特定し、決まった基準に基づいて色を配置する手法として、次に述べる「表色系」が有ります。
「色の三属性と分光分布」も参照のこと
先ず、物理的特性に基づいての、色彩配置と色立体について、その考え方を見てゆきます。 なお、この「表色系」はオストワルト表色系と原理的には共通です。
色彩を、物理的特性や人間の感覚など、ある基準に基づき秩序立てて配置したものを「表色系」と言います。配置する基準によって、幾つかの表色系が考えられています。 通常、「色彩の三属性」と呼ばれる、色相(Hue)、明度(Value又はBrightness)、彩度(Chroma又はSaturation)が配列の基準となります。
基準が三つあることで、その配列は自然に三次元、つまり立体的な空間配置にならざるを得ません。これを「色立体」と言います。
オストワルト表色系、マンセル表色系などが有名ですが、このほかにも幾つかの表色系が存在します。
表色系が多数存在すること自体、全ての基準を同時に満たす、唯一のカラー配列システムは無い、と言うことの表明でも有ります。
ここでは先ず、物理的特性に基づく配列を見てゆくことで、その考え方を理解し、次にオストワルト表色系とマンセル表色系について、その違いと共通性について述べてみたいと思います。
最初に色相を配置してゆきます。色相はスペクトルにおける波長(周波数)の違いが基礎になります。
波長は本来、長から短へ(低周波から高周波)への直線的な変化です。従ってスペクトルも当然直線状の配列になります。
ここにスペクトルに無いマゼンタを加えることで、長波長域(赤系)と短波長域(青系)を連結し、円周上に配置することが出来ます(「スペクトルに無い色、マゼンタ」参照。
これを「色相環」と言います。
原理的にはほぼ限りなく細かく配置できる訳ですが、人間の目が識別可能な純色はおよそ300色と言われており、それ以上の細分化は意味が無いことになります。
配置されたカラーは順序をたどり、又、元に戻ります。つまりカラーの配列は円形になり、始まり・終わりが有りません。
これを、色相環と言い、円周上に配置された角度による、色相の違いを表します。
そして色相環の際外周には、その色相の中で最も彩度の高い色(最もその色らしい色)が配置されることになります。
対角位置の2色は補色の関係になっています。つまりその2色の色材を混ぜ合わせると、減法混色により中和して灰色(無彩色)になります。
従って色相環の中央には必然的に純色同士の混合である無彩色が配置されることになります。
無彩色とは色相及び彩度を持たない色、つまり全く明るさを含まない状態(黒)と明るさの飽和状態(それ以上明るさを増やすことが出来ない状態―白)、及びその中間の様々なレベルの灰色のことです。色相の影響を全く受けない中性的な色であり、明るさの違い(明度)だけで区別します。
左図は黒から白までを、人間の目での識別範囲とされる150階調で示したものです。
(拡大図で階調ごとの明度差が分かりますか)。
無彩色の秩序有る配列は、白→黒、或いは黒→白の一方通行で、図のように直線的な配列になります。グレースケールとも言います。
このグレースケールが色相環の中央に、色相環と直角に配置されます。
この配列が、明度の基準になります。
直線的距離は、明度の差になります。
色相環の最外周に純色が、中央に灰色が配置されています。
純色と灰色との間にその混合色が配置されます。
色相環の最外周は最も彩度が高く、中央に行くに従い彩度が低くなり、中心には全く彩度のない無彩色(グレースケール)が配置されることになります。
中心を基準として、全ての対角に有る色同士の混合は、中央の無彩色(灰色)となります。
無彩色の配置(グレースケール)も、純色の配置(色相環)もそれぞれは、1次元(直線)或いは2次元(平面的)な配置です。
これを統一して一つの配列にするには、3次元的な配置が必要になります。
このような考えで作られたカラーの配置を「色立体」等と言います。
色相環の純色と、無彩色上部の白、下部の黒を結ぶ線上に、それぞれの純色と、白・黒の混合で作られる、様々な明澄段階が配置されます。
ここで述べた「物理的表色系」は、考え方として次に述べる「オストワルト表色系」と多くの共通性が有ります。 …と言うよりも実際世上に流布しているのは、オストワルト表色系です。「物理的表色系」はその理解の為の考え方を述べたものです。
二重垂体についても、次ページ「オストワルト表色系」で取り上げます。