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カラーを理解する基礎は光ですが、光(可視光線)は電磁波の一種です。電磁波は、電場と磁場が相互に誘発し、補いながら空間、或いは物質中を伝播する現象です。
そのことが分かってから未だ200年も過ぎていませんが、今や電磁波は現代文明の中心を、それも極めて広い領域に渡って担っています。
小学校だか中学校だったか、理科の時間に電磁石を作ったことが有ったと思います。
導線のコイルに電流を流すと、導線の回りに磁気が発生します。磁気の方向(磁力線)は、電流の進行方向に対し、右回りです。 電流を止めれば磁気も消失し、電極を変えれば磁気の方向も変わります。
磁気の発生は、コイルでなく一本の導線でも起こります。コイルにするのは、導線を束にしてより強い磁場を得るためです。
※ 電流が磁場を作ることを最初に発見(1820年)したのは、オランダのエルステッド。
※ 現代物理学では、「場」と言う考え方が広く用いられています。或る物理量を持つ存在が影響を及ぼす範囲、とでも言えるでしょうか。或いはその物理量の存在そのものを指す場合も有ります。
電場、磁場、電磁場、重力場、ヒッグス場……などなど。
電流の流れ、つまり時間的に変化する電場は時間的に変化する磁場を作る。(電場→磁場)
この現象を利用したものとしては当然電磁石が有るし、電磁石を使ったモーターが有ります。
家庭用電気製品の中で電磁石やモーターが、全く使われていないものを探すのは困難でしょう。磁気ディスクなどの記憶媒体を始めとしたパソコンも、勿論例外では有りません。
今度は逆に、導線のコイルに磁石を入れたり出したりすると、その都度導線に電流が発生します。磁石の方向転換の都度、電流の流れも切り替わります。
この場合も導線は直線でも構いません。導線が磁場を横切ることで電流が発生します。
コイルにするのはより強い電流を得る為です。
※ この現象は電磁誘導と言い、イギリスのファラデーが発見しました。
ファラデーは貧乏な鍛冶屋の息子として生まれ、受けた教育も小学校までと言うことです。しかし彼の発見は、後世の人類に計り知れない貢献をしています。
時間的に変化する磁場は、時間的に変化する電場を作る.(磁場→電場)
この現象を利用したものの典型は、発電機です。
発電機は導線コイルの中を、磁石が高速回転することで電気を起こす仕組みになっています。つまり導線に対し、変化する磁場を与えることで導線に電流を発生させます。
発電機とモーターは、裏表の関係です。 モーターを逆に、エンジンを使って回転させればモーターの電源コードに電流が発生します(…筈です。やったことないけど)。
エルステッドの「電場→磁場」の発見、ファラデーの「磁場→電場」つまり電磁誘導の発見により、それまで違う現象とされてきた、電気と磁気を統一して考えることが出来るようになりました。
電気と磁気は同じ現象の裏と表の関係だと言っていいでしょう。
※ ただ電気と磁気では大きく違う点が有ります。
電気はプラスとマイナスの2つの極が有り、それぞれ単独で取り出すことができます。陽子と電子がそれぞれプラスとマイナスを担っている訳ですが、どちらも単独で扱うことが出来ますからね。
磁気もN極とS極の2つの極が有りますが、電気と違いこれを引き離すことはできず、磁石をどんなに細かく分割しても常に両端がNとSに分離します。つまり磁石に単極子(モノポール)は無いのです。
ただこの現象が原理的に証明されている訳では無いらしく、宇宙誕生の初期にはこのモノポールが存在していたと言う議論も有ります。モノポールの発見は物理学会の大きなテーマのようです。若し発見できれば、或いは作り出すことができればノーベル賞間違いないでしょう。
勿論2人だけではなく、エルステッドの発見をさらに発展させたフランスのアンペール、 そして彼らの実験を安定的に支えることとなった、ボルタ(イタリア)の電池の発明(1800年)などの功績も大きい。
「電場→磁場」、「磁場→電場」 この関係を利用した身近なものの典型として、変圧器(トランス)が有ります。
トランスは鉄心に、巻き数の異なる何セットかの導線コイルが巻かれているものです。
一つのコイル(1次コイル)に 交流電気を流すと、鉄心は電磁石となるのですが、交流は1秒間に50Hz(東日本)、60Hz(西日本)の間隔で電流の向きが変わるので、鉄心は「変化する磁場」となります。
変化する磁場は、同じ鉄心の他のコイル(2次コイル)に対し変化する電場(交流電気)を発生させることになります。
2次コイルの巻き数を調整することで、それに応じた電圧を得ることが出来ます。
つまり一定の電圧からさまざまな電圧に変換させることが出来る訳です。
エルステッドやファラデー等の成果を数学的に整理し、それによって「電磁波」の存在を予言したのが、英国(スコットランド)のマクスウェル(1831. 6.13 - 1879.11. 5 ) です(マクスウェルの方程式)。
つまり大雑把に端折って言えば、電場が磁場を作り、その磁場が電場を作り、そしてその電場が………、と連鎖的に繰り返し発生することになります。
そしてその連鎖的に発生する電場と磁場が、空間を波として伝わることが、マクスウェルの方程式で予言されたのです。
変化する電場と変化する磁場が連鎖的に空間に伝わる。
電場と磁場は、常に直角に絡んで伝播します。
マクスウェルの方程式から導かれる電磁波の速さは、当時観測で知られていた光速度と一致した為、マクスウェルは光も電磁波の一種であると考えました。
ここに、それまで電気現象とは関係ないとされていた光も含め、電磁現象として統一的に理解する道を開いたのです。
マクスウェルが到達した、この電気と磁気の統一的理解は、天体間の力と地上の力を統一した、ニュートンの万有引力の法則に続くものです。
しかも万有引力の法則は、天体と地上における「同じもの」を「同じもの」として統一した性格のものですが、マクスウェルの方程式が示す電磁波の理解は、それぞれ異なる現象である電気と磁気、そして光までもを統一して記述したもので、その後のより多くの自然界の力の統一的理解への動機となりました。
又この電磁波としての理解は同時に、それまで長年の論争であった、光の粒子説、波動説にも自ずから(ひとつの)決着を付けることになりました。
電磁波を実際に実験で証明したのはドイツのヘルツです。
マクスウェルの死後、マクスウェルの電磁波予言から24年後の1887年です。
その7年後にはイタリアのマルコーニが、この電磁波の1種である電波を使って、無線電信に成功しています。
「電磁波は、そのままエネルギー」と言い切ってもいいでしょう。そしてエネルギーの強さは電磁波の周波数に比例します。周波数が多いということは波長が短い、と言うことで、短い波長の電磁波ほど強いエネルギーを持ちます。
しかし電磁波の振幅の大きさ、つまり波の高さは電磁波のエネルギーの高さに繋がりません。この点で同じ「波」と言っても、音波や水の波と事情が異なります。この辺は「粒子と波動の2重性 > 光量子仮説」参照。
光を含む電磁波は、物質の有り様と深く結びついた、極めて基本的な要素、現代物理学のコア概念です。
電磁波は波長によってエネルギーの値が違い、その発生の源と原因が違います。物質はその状態に応じた波長の電磁波を放っており、人間も当然赤外線等の発生源となっています。
「宇宙線」とは宇宙空間を飛び交っている高エネルギー粒子のことで、地球にも頻繁に降り注いでいます。その多くは陽子とα粒子(ヘリウムの原子核)であり、若しそのまま浴びたら致死的です。
この一次宇宙線が地球の大気圏に突入する時、空気中の窒素や酸素などの原子核との相互作用で、様々な粒子を発生させる。この現象は「大気シャワー」と呼ばれ、一次宇宙線の衝突で発生した粒子を二次宇宙線と呼びます。地表にいる人間は、これら無害となった宇宙線を1秒間に200個程度浴びていると言う。時間の遅れの実証例として取り上げた、ミュー中間子はこの二次宇宙線です。
宇宙線のエネルギーは、時に10の20乗eV(電子ボルト)という膨大ものも有ると言いますが、現在、世界最大の粒子加速器から出てくる粒子でさえ10の12乗eV程度というから、兎も角こんなものが人工的に作れるものでないことは確かです。
山梨県明野にある、宇宙線研究所所属の、AGASA(アガサ)と言う観測施設によると、10の19乗eVの宇宙線は、1平方キロ当たり、年1個程度降って来るということです。
宇宙線の起源については、超新星爆発、ブラックホールへ落ち込む際の現象、等が考えられています。
※ ’06年2月15日付け朝日新聞に、 「探せ スーパー宇宙線」と言う記事が有った。
宇宙から降り注ぐ宇宙線の中に、桁違いに高エネルギーな「スーパー宇宙線」が有る、と言う説を巡って、日・米での意見の対立が有り、双方の研究チームが共同で、その宇宙線の探索をするのだそうだ。
日本側は、一般的な宇宙線の何兆倍にあたる、10の20乗eV(電子ボルト)を超える、スーパー宇宙線を確認しているとしているが、アメリカ側はそれを否定している。
興味深いのは、若し実際にそのような桁違いの宇宙線が確認できれば、少なくとも超高温のレベルでは、相対性理論にほころびが出るのだそうだ。
そのようなエネルギーを与えた現象が何で有るか、ビッグバンにも関わる問題になるのだそうな。
そこで素人ながら考えたこと。
相対性理論は、光の速さ、つまり時間と空間に関わる問題で、あまり温度との関係で述べられたのを見たことが無い。
しかし、絶対零度になれば(光速を達成するのと同じく、絶対零度も達成不可能)、物質の運動も止まり、時間も必然的に停まると思うのだが、相対性理論と温度の関係はどうなっているのだろう。
………と思っていたら、量子論の不確定性原理によると、絶対零度に於ける物質の運動停止と言う確定した状況は「確定」出来ないのだそうだ。
ガンマ線は、原子核の崩壊で発生する電磁波で、やはり巨大なエネルギーを持ち、金属やコンクリートを貫通する。当然致命的であり、核爆発やチェリノブイリ事故の際の後遺症で知られています。
又近いところでは、動燃の臨界事故('95年12月)による作業員の被曝、死亡事故が有る。DNAがズタズタに破壊されていたようだ。
東電の福島原発事故では、ガンマ線について特に騒がれなかったようだが?
ガンマ線とX(エックス)線の波長は一部分重なります。
同じ波長領域であっても、ガンマ線とX線では発生の起源が異なり、
軌道電子の遷移を起源とするものをX線、原子核内のエネルギー準位の遷移を起源とするものをガンマ線と呼びます。つまり電子に比べ格段に重い原子核の振る舞いに起源を持っています。
最近の話題に、宇宙最大規模の爆発としての「ガンマ線バースト」がある。
興味の有る人はネットで検索してみてください。
ドイツの物理学者レントゲンが1895年発見、未知の放射線と言うことででX線と名付けました。
X腺は体の柔らかい部分なら貫通し、写真フィルムに感光するので医療現場で良く使われているのはご承知の通り。やはり度々浴びると危険です。
自然界のX線は、主に宇宙のブラックホールから飛来すると言う。
ブラックホールは重力が極端に強く、光つまり電磁波も出ることが出来ない。従ってブラックホール自体からは、可視光もX線も観測できない。
しかしブラックホールに猛スピードでガスなどが落ち込む時、極めて高温な状態になります。およそ100万度以上の高温となった時、そこからX線を発生するのだそうです。
人工的には、銅、モリブデン、タングステンなどの金属に、加速した電子ビーム(30 keV程度)を当てて発生させる等の方法があります。
可視光線に隣り合わせている紫外線は、太陽など恒星のような超高温物質から発生します。浴びすぎるとDNAが破壊され皮膚ガンの原因になる。
「日光消毒」により、細菌を殺すことが出来るのも紫外線により、細菌のDNAや細胞を破壊する効果によります。
しかし通常(今までは)地球を囲むオゾン層によって、紫外線が遮られていて地上の生物は守られています。又一面で紫外線(B波)はビタミンDの合成作用を持ち、人間にとって必須でもあります。
赤外線を「熱線」と呼ぶことが有ると同じく、その化学作用の強さから「化学線」と呼ぶことが有る。
※ オゾン層(或いは酸素も)は元々地球に有った物では無く、地球の歴史の中で植物(或いは植物的バクテリア-藍藻等)によって作られた物である。オゾン層が無かったら、地上に生物が生存するのは極めて困難である。
今、このオゾン層が破壊されている。生物が40億年掛けて作り出した、「生物安住のシステム」が、僅か100年位の人間経済活動によって破壊されようとしている。しかもその危機を人類は制御出来ないでいる………。
※ メラニン色素は紫外線を遮る効果を持ち、太陽光線照射の激しい赤道周域に住む人は、皮膚にメラニン色素を多く沈着させて紫外線の過剰摂取を防いでいる。
反対に太陽光線の乏しい北欧などでは、抜けるように白い肌で紫外線を積極的に摂取する仕組みになっている。
近年航空機の発達や世界のグローバル化によって、地球規模での人間の移動・交流が盛んになり、長い人間の歴史の中で適応して来たこの仕組みが、現在逆に作用するケースが増えている。
白人が強烈な太陽光線に晒されると、メラニン不足による紫外線の過剰摂取で皮膚ガンが多発し、逆に高緯度地域に住むこととなった黒人が、紫外線不足によるビタミンD欠乏症に罹るなど。
200年あまり前にオーストラリアに移住した白人たちも、後2000年もすれば今のアボリジニ並みの肌の色になると言う。
人工的には、放電管の電極に電圧をかけ、飛び出した電子による、放電管内の水銀蒸気のイオン化等で紫外線を発生する。
蛍光灯の場合、この紫外線が蛍光管の蛍光物質と作用して可視光線化する訳だが、蛍光物質の種類によって性格の異なる「光」を発生させることが出来る。或いは蛍光管の素材に可視光線をカットするフィルタ機能を持つウッドガラスなどを使えば、ブラックライトになる。
通常の蛍光灯は紫外線が吸収されて可視光となっているので無害だが、蛍光物質が塗布されていない水銀アーク灯や、蛍光管に紫外線透過の優れている石英ガラスを使った「殺菌灯」等を直視、或いは長く曝されることは危険である。
可視光線については、「カラー」で詳細に取り上げています。ただここでは、可視光線の様々な振る舞いが、主に原子の中の電子の運動に由来している、と言うことだけ述べておきます。
赤外線は「熱腺」とも言われ、熱として感じる。人間の眼にとっての感受性は無いが、 赤外線カメラは人間等の出す熱に感応して光の無いところでも撮影できる。つまり物質を熱することによって発生する。
赤外線コタツ等に赤い光を出しているものが有るが、暖かさを強調する為メーカーが付けているもので、赤外線そのものは可視光でないので眼に見えない。
電波も光と同じく電磁波である。
電線に高周波の交流を流すと、交流は周波数に応じた電流の方向変化を起こす為、電線の中で激しい電子の揺れが生じ、それが電磁波の発生原因となる。
新聞の「テレビ・ラジオ欄」を見ると、例えばラジオの、NHK第一放送のところに「594kHz」と記載されている。
可視光線と比べて、10桁以上も違う長い波長だが「もの」は同じである。