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加法混色については理解していても、減法混色についてはきちんとしたイメージを持てない人が多いのではないでしょうか。
色光 を足して行くと次第に明るくなり、最後は白になる、と言う加法混色は素直に理解できる。一つの懐中電灯で照らすより二つで照らした方が明るくなる理屈です。
しかしそもそも、色光を減らしながら混ぜ合わせると言う意味の減法混色とは、どうイメージすれば良いのか………。
減法混色は主に印刷や絵画での、インキや絵の具を混ぜたり重ね刷りする時に考慮すべき現象です。或いは映画やスライドなど、カラーフィルタを光が透過する際の現象です。
原理的には、減法三原色と言われる、シアン、マゼンタ、イエローの三色のインキ、絵の具の適切な混合や重ね刷りで、或いはカラーフィルタで、あらゆる色を再現できることになっています。
その辺の理屈と、特に印刷に関連しての減法混色を見ていきましょう。
※なお後述しますが、印刷など実際の活用現場では、シアン、マゼンタ、イエローの三原色にブラック(K)を加えて、CMYK 四色が使われます。
減法混色は、光が物質を透過したり、物質表面で反射する時に関係してくる現象です。つまり「光と物質の相互作用」による現象です。
「物体色」でも触れたことですが簡単に再掲しておきます。

物体に光が当たったとき、光の一部はその物体に吸収され、残りの光が反射或いは透過します。
反射光、透過光が眼に入って、その物体色として認識されます。
物体に吸収された光は、物体色の補色です。
反射・透過光と、吸収された補色光は、相補的です。
物体色=入射光−補色 の関係になります。
減法混色とは光のスペクトル成分から、吸収させる補色部分を調整し、意図する色を残すかを考える方法だと言えるかも知れません。
減法混色、そしてその基礎となる減法三原色も、やはり光の物理的性質と、人間の眼のカラー認識機能に基礎を持っています。
ここでも「スペクトルとカラー」の復習になりますが、連続的に変化するスペクトルの、それぞれ2/3ずつの領域をまとめると、減法三原色、C(シアン)・M(マゼンタ)・Y(イエロー)が得られます。

加法三原色は、スペクトル領域の1/3、減法三原色は2/3づつを含んでいます。したがって、色光自体は減法三原色の方が加法三原色の2倍明るいことになります。
そして減法原色の補色はスペクトル領域1/3です。
このことが、減法三原色による「減法混色」の可能性を保障します。
俗な言い方をすれば「加法混色」は、もともと暗い原色を、足し算することで様々なカラーを合成するのに対し、「減法混色」は、明るい原色から「補色」を吸収(つまり減色)することで、意図するカラーを残すことだと言っていいでしょう。
以下、具体的に見て行きましょう。
加法混色が、色光を合計(混ぜ合わせる)することで新しい色を得るのに対し、減法混色は有る特定の色(スペクトル)から、有る光線部分を取り除く(減算)することで新しい色を作ります。
減算される部分は、透過光にしても、物体色にしても、その物質の「補色」です。以下具体的に見て行きましょう。


光源から出た光が、灰色フィルターを通り抜ける時、そのスベクトルの一部がフィルタにより吸収され、投影される光はその分だけ暗くなる。(右図)
灰色(グレー)フィルタは、スペクトル領域を平均的に満遍なく吸収する。
フィルタの濃度を0〜100%に調整することで、様々な濃度の「グレースケール」が得られる。


白色光を黄色フィルタに通すと、短波長光線(青スペクトルが)吸収され中間及び長波長光線が透過、混合されて黄色が投影される(左図)。
簡単に言えば、黄色フィルタがその補色である青を吸収したものである。
さらにシアンフィルタを通すと、その補色である赤を吸収し、緑だけが透過、投影される(右図)。


シアンフィルタの代わりにマゼンタフィルタを通すと、その補色の緑が吸収され、赤が透過、投影される(左図)。
シアンとマゼンタフィルタを通すと、青(すみれ青)が透過、投影される(右図)。


フィルタの濃度とその組み合わせを様々に変えることで、原理的には全ての色を作り出すことができる。
左右両図のように、C、M、Y 三色のフィルタ濃度を、それぞれ0〜100lの階調で変化させることにより、白〜黒、及び全てのカラーを再現できることになる。
右図では、スペクトル領域全てがフィルタに吸収され、光は透過しない。
なお、どうして減法三原色は、RGBでなくCMYなのでしょうか。
RGBを使い、減法混色をしたら(つまりRGBのフィルタを使ったら)2色の混合だけで、カラーレベル0(黒)になってしまい、中間のカラーを作り出せないのです。
この理由は皆さん考えて見て下さい。
前項「スペクトルと各混色、及び補色」の図を見れば分かると思います。
ヒントは、減法混色では、その色以外の全てのスペクトル領域を吸収してしまう、と言うことです。
減法三原色の色材(インキ、顔料など、或いはフィルタ)による混合で、それぞれの補色が吸収(減色)され、減法混色が生じる状況を、分光分布によって模式的に表してみました。
減法混色において、減法三原色は一次色となります。
減法三原色の、2色の混合で出来る加法原色は二次色になります。
下図で、例えば1次色のシアンとイエローの混合で、それぞれの補色が吸収され、グリーンが残ります。
同じく、シアンとマゼンタの混合でブルー、マゼンタとイエローの混合でレッドが残る状況を示しています。
二次色である加法原色に、さらに残りの減法原色を加えると、全ての(誤反射を除く)光が吸収され、三次色としての、K(ブラック)となる状況を最下段で示しています。
減法混色では、色が重なるたびに補色部分が減色されて暗くなって行きます。

※ 図の中で、小さな点は、Illustratorで図を描いた際に表示される、中心点やアンカーポイントです。減法混色の説明とは関係有りません。
光が物質に当たったとき、物質表面カラーの補色が物質に吸収され、残りが反射し我々の眼に入って、要するにその物質のカラーが認識されます。

右図は、白色光(RGB)がCM,Yのインキや絵の具等の色材に当たっている場合です。
CMYはその補色、RGBの1色を吸収(減色)し、残り2色の反射光が合成されて (この反応は加法混色です)、CM.Yが生成されます。
フィルタを通しての補色の減色も、インキ、絵の具など色材による、補色の減色も、人間の眼にとって、実は同じことです(下図)。


光源からの白色光は、イエローフィルタで、補色のブルーが減色され、黄色が透過し、その投影面が眼に入る(左図)。
白色光がイエローインキに当たり、補色のブルーが減色され、その反射光が眼に入る(右図)。
我々の眼にとって左図と右図は、全く等価です。
上左図のような、透過光による減法混色の具体例としては、映画やカラースライドの投影、或いはバックライトで表示されているウインドウディスプレー等でしょう。
カラーフィルムに、元々全てのカラー要素が用意されていて、あのようなフルカラーが再現されている訳では有りません。
基本的にはフィルムにC・M・Y 三色の層が有って、その透過光がスクリーンに投影されます。
透過されなかった光(補色)はフィルターであるフィルムに吸収され、熱となります。 昔の映画館ではフィルムが良く焼き切れたものです。
舞台照明のカクテル光線の照射は加法混色ですが、その光源は通常カラーフィルタでR・G・B の色光を作っています。このこと自体は減法混色です。
上右図のような、反射光による減法混色の具体例としては、何と言ってもカラー印刷でのインクの混合です。或いは染色、絵の具の混合など。
以下と次ページでこの点について立ち入って見てみましょう。

加法混色は、専ら光の混合の問題です。
減法混色は、インキ、絵の具など色材の混合に関する問題です(左上図)。

※ 繰り返しになりますが、限られた色材の混合で多くの色を作り出そうと言うのが、減法原色であり減法混色の考え方です。
印刷の現場でも、全ての色を予め用意しておくことは困難だし、色数が少ない方が、管理が楽だからです。

マゼンタとイエローの混合割合によって、その間の様々な純色を作ることができます。

同じようにイエローとシアン、シアンとマゼンタの間でも、混合割合によって様々な純色を作ることができます。

さらに純色と、白、グレー、黒との混合で多くの様々なカラーを作ることができます。

マゼンタと言う色はスペクトルに含まれていません。
短波長域のブルーと長波長域のレッドをそれぞれ同じ割合で混合することで得られます。
本来、スペクトルは線形で帯状をなしています。短波長ブルーと、長波長レッドの混合により、スペクトルに無いマゼンタを作ることで、そのマゼンタを接点とした連続的なカラーの環を作ることができます。
オストワルト、或いはマンセルなどの表色系における、色相環はそう言う形でできています。
色材での減法混色を起こさせる方法は、幾つか有ります。