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Webは、印刷用ドキュメントと違い、「用紙サイズ」と言う概念はあまり有りません。
Illustratorで画像(オブジェクト)を作成し、「Web用に保存(CS2迄)」「Web 及びデバイス用に保存(CS3以降)」した場合、アートボード上の全てのオブジェクトが書き出されます。 場合によっては、邪魔なもの(孤立点)、必要の無いオブジェクトなどが含まれることが有ります。
画面上で必要な領域だけを選択(切り取って)、Web用に保存する問題について検証します。
特に問題になるのが 「クリッピングマスク」処理をしたオブジェクトでしょう。
クリッピングマスク処理をしたオブジェクトは、Illustratorのアートワーク上では、マスク領域だけが正常に表示されますが、これを「Web用に保存」すると、マスクされて本来非表示で有るべき領域も含めて書き出されてしまいます。
この状況は、Illustratorのバージョンの違いによって変わってきます。又その対処法もバージョンによって変遷してきました。
下左図は女性図を長方形でクリッピングマスクした画像です。
Illustratorドキュメント上では、クリッピングマスクによって切り抜かれた領域だけ表示され(下右図)、マスクされて非表示になっている領域は当然表示されません。ページ内に配置しても、非表示部分が周りに影響を与えると言うことは有りません。
Illustratorドキュメント上でキレイに切り抜かれていたクリッピングオブジェクトが、Web用に保存した時、同じ状況で表示されるとは限りません。
ここでは下左図のソース画像を元に、Web用に保存した時どうなるか、そして下右図のように必要な領域だけをWeb上でも表示する為にはどうすればいいか、Illustratorの各バージョンごとに具体的に検証してみます。
最初に上図ソース画像を、そのまま「Web用に保存」した結果です。
下左図はバージョンCS3まで、下右図はCS4、及びCS5での結果。
どちらも、クリッピングマスク領域だけでなく、余計な領域まで含めて、書き出し範囲として保存されます。
クリッピングマスクにより切り出した領域だけを「Web用に保存」で書き出す方法は、Illustratorのバージョンアップに伴い、めまぐるしく変遷しています。
以下、バージョンごとに検証します。
バージョンCS迄は「オブジェクト→トンボ→作成」で、トンボを設定し、その後「Web用に保存」することで、必要な領域だけを書き出すことができます。
バージョンCS2以降、「トンボ」の表現は無くなり、代わりにトリムエリアに変わりました。現実に印刷の現場でトンボは殆ど使われていません。受け付けない印刷屋が大半です。
やり方はトンボと殆ど同じです。やり方は割愛します。上のバージョン10、CSのやり方を参照して下さい。
問題はバージョンCS4、CS5です。
ここで又この問題の扱いはガラッと大きく変わりました。CS4以降は、「トリムエリア」が無くなり、アートボードのサイズ変更で対応します。
又、CS4とCS5では、細かい部分で違うところが有ります。
CS5の場合、次の2通りの方法で、アートボードサイズを合わせることができます。
CS4から複数(最大100枚まで)のアートボードを扱えるようになりました。
それまで1つのアートボードでやりくりせざるを得なかった、出力上の色々な問題を、独立した複数のアートボードに振り分けて、それを1つのファイルとして管理できるようになった訳です。
そう言う流れの中で、Web書き出し範囲の問題も又、トリムエリアによる設定からアートボード単位での出力範囲設定に傾斜して来たのだと思います。
バージョンCS4と、CS5でも細かいところで違いが有るように、今後も若しかしたら試行錯誤が続くのかも知れません。